放射線科の紹介 放射線科医(診断領域) 放射線医学は、放射線診断学、放射線治療学、核医学の3本柱で構成されます。また、最近では、放射線診断を応用して治療を行う、インターベンショナルラジオロジー(IVR:Interventional Radiology)も重要な柱となってきています。ここでは、放射線診断学について紹介します。 放射線診断学は単純X線撮影やCT、核医学などの放射線を用いた検査法以外に、超音波検査や磁気共鳴検査(MRI)といった放射線を用いない画像検査も含まれており、画像診断学とも呼ばれます。CTやMRIの登場以来、画像診断技術の進歩はめざましいものがあり、実臨床において画像診断の果たす役割は極めて大きく、さらに日々発展しています。従って、それらの画像検査を司る放射線診断医(画像診断医)は、臨床的に極めて重要な役割を担っています。頭部から胸部、腹部、骨関節など全身のあらゆる部位の画像診断を行っており、放射線診断医は、まさに「頭のてっぺんから爪先まで全身を診る」医師と言えます。ほぼ全ての領域で言えることですが、画像診断なくしては現在の診療はなりたちません。患者さんの治療方針を決定するカンファレンスやキャンサーボードで、「放射線診断医が主役」であることがそのことを物語っています。従って、放射線診断医はあらゆる診療科の医師から信頼される専門医である必要があります。そのためには、的確な診断はもとより、被ばくや侵襲性など各検査法の特徴を考慮して、適切な検査法,撮像方法や部位を決定・推奨することも重要な役割です。 放射線診断は、従来は静止画像での読影が中心でしたが、最近は、ダイナミックな画像や機能画像が有益な情報を持っており、静止画像と併せて読影することで、診断能が飛躍的に上昇してきています。代表的な2症例を呈示したいと思います。図1は肺癌の症例です。通常のCT横断像では腫瘍が胸壁と広く接しており、胸壁浸潤も否定できません。しかし、深い吸呼気をさせたダイナミックなMRI画像を撮像することで、腫瘍が胸壁に対して上下にスライドし胸壁浸潤を否定することができます。術前の治療方針を決定する上で極めて有益な情報が得られた症例です。図2は肺動脈血栓塞栓症の症例です。造影CTが血管造影よりも本疾患の診断に有用であることは広く認識されていますが、最近では肺実質の血流を画像化(実際には造影剤内のヨードを検出するためiodine mapと呼ばれます)することにより、肺動脈内の血栓の指摘に加えて、肺血流シンチグラムに匹敵する肺実質の血流分布の情報を得ることが可能となりました。