ダイバーシティ 働き方改革提言

DIVERSITY

タスクシフトに関する会員の皆さまへの大事なお知らせ

日本医学放射線学会ならびに日本放射線科専門医会・医会の会員の皆様へ(第1報)

要 約

「医師の働き方改革」の一環として医師の業務を放射線技師へタスクシフトするための放射線技師業務追加に関する法案が本国会で可決の見込みです。

一定の教育・研修を修めた放射線科医師の業務を、安易・過度にタスクシフトすることは医療安全、診療の質の観点から慎重に検討を重ねる必要があります。

医師のタスクシフトが国の方針として進められる中、今後、診療放射線技師や看護師等、他の医療職との真摯な議論や十分な連携が必要となります。日本医学放射線学会、日本放射線科専門医会・医会、日本インターベンショナルラジオロジー学会の活動へのご協力をお願い申し上げます。

現在開会中の、第204回通常国会にて、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」案が検討されています(4月8日衆議院本会議で可決。現在参議院に付託され会期中に成立の見込み。10月1日施行予定)。

本法案ですが、いわゆる「医師の働き方改革」の一環として、①過重労働に陥りがちな医師の労働時間短縮のための労務管理を強化する側面、②これまで一般的に医師が行ってきた業務を、より一層他の医療職に移管させる側面(タスクシフトの加速)、が存在します。
本法案には診療放射線技師法の一部改正も含まれており、具体的には診療放射線技師の業務に「(外照射に加えて)放射性同位元素を人体内に挿入して行う放射線の人体に対する照射を追加する」「医師又は歯科医師の指示を受け、(医療機関外に)出張して超音波診断やその他省令で定める画像診断検査を行う」ことが追加されることが明記されています。

本法案の提出理由として、「医師の労働時間の短縮及び健康確保のための制度の創設、各医療関係職種の業務範囲の見直し等の措置を講ずる」と述べられており、上述の診療放射線技師法の一部改正は「法律の改正が必須である部分に限って」行われる立法措置です。

会員の皆様におかれましては、放射線科に限らず医師全体のタスクシフトという問題が、すでに国会での新法成立(診療放射線技師法や臨床検査技師法等の一部改正含む)というような国家的議論の域に達していること、放射線科医の身近にいる診療放射線技師や看護師等、他の医療職との真摯な議論や十分な連携なしには、真に放射線科医が望むタスクシフトは達成できないことをご認識いただき、タスクシフトに関する今後の日本医学放射線学会や日本放射線科専門医会・医会の活動にご協力を賜りますようお願い申し上げます。

なお、本件については今後の進捗状況を確認しつつ適宜追加のお知らせを予定しています。

資料:放射線科領域における放射線科医から他医療職へのタスク・シフト/シェアの概説 

令和3年4月27日
公益社団法人 日本医学放射線学会
一般社団法人 日本放射線科専門医会・医会
一般社団法人 日本インターベンショナルラジオロジー学会