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RADIOLOGIST

放射線科の紹介

AI時代の放射線診療

― 2026年,私たちはどこまで来たのか ―

2016年,「人工知能(AI)の進歩によって放射線科医は不要になるのではないか」という議論が世界的に注目されました.しかしながら,それから約10年.放射線科医はいなくなっていません.それどころか、画像の専門家としての放射線科医の必要性はますます高まっています。
現在のAIは,CTやMRI,PETやX線画像から病変候補を検出するだけではありません.臓器や腫瘍の抽出,大きさや体積の測定,過去画像との比較,さらに筋肉量など従来は計測に手間がかかっていた情報の数値化など,その役割は広がっています.将来は血液検査と同じように,画像から得られたさまざまな数値を時系列で確認することが当たり前になるかもしれません.
そして近年,大きな変化をもたらしているのが生成AIです.以前は主に画像を対象としていたAIですが、今では文章を扱うようになり、画像,過去の検査結果,診療録などをまとめて解析することも現実味を帯びてきました.AIは「一つの病変を見つける道具」から,診療を幅広く支援する技術へ変わろうとしています.
一方,AIの性能には限界があり,その結果は使用する環境や対象によって変わることがあります.ある施設で高い性能を示したAIが,別の施設でも同じように働くとは限りません.そのため現在では,導入したAIが実際の診療現場で期待どおりの性能を発揮しているかを継続的に評価することの重要性が認識されています.
10年前の問いは,「AIは放射線科医を置き換えるのか」でした.2026年現在,問いは変わりつつあります.
「AIとともに,よりよい放射線診療をどうつくるのか」.
AIを選び,その性能と限界を理解し,安全に診療へ取り入れることも,これからの放射線科医の重要な役割です.JCR人工知能診療委員会では,急速に変化するAI技術と放射線診療について,今後もその「現在地」を定期的にお伝えしていきます.

人工知能診療委員会
2026年9月2日