掲載(更新)日時:2020年2月25日10時30分

新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)に対するCT検査については慎重な対応を

会員各位

新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)のCT検査について、報道機関から専門医会に以下の内容の問い合わせがありました。

「複数の医学論文で、新型コロナウイルス肺炎のCT画像が発表され、その所見が報告されている。その中にはPCR法陽性以前にCT所見が陽性になった例があり、CTが早期診断、スクリーニングに有用ではないか?」

これに対し、専門医会では緊急の理事会メイル審議を行い、現時点では以下の要旨と結論に達しました。

<要旨>

  • 論文で発表されている「すりガラス影」を主体とするCT所見は一般的なウイルス性肺炎の所見で、本症に特異的ではない。
  • 従ってCTで本症の確定診断を行うことはできない。
  • 感染からどの段階で、CT所見が出現するかは現段階では不確定である。
  • 従ってCT検査で陰性でも本症を除外することはできない。
  • スクリーニングとしてのCT検査の施行は、院内感染対策などで本来の診療に影響する可能性がある。

<結論>

新型コロナウイルス肺炎に対するCT検査は、厚労省の示す受診基準を満たし、呼吸器や感染症の専門医による本症の診断もしくは疑い診断のもと、専門医が必要と判断した場合に、各医療機関で院内感染などに万全の対策を施した上で、施行することが望まれる。

会員各位におかれましては、一般の皆様や報道機関、自治体などから問い合わせがあった場合は慎重に対応をお願いいたします。問い合わせの対応に難渋されましたときは、理事会で対応いたしますので、事務局までご連絡ください。専門医会としては本症に対するCTの新知見を収集して会員各位にお知らせしてゆく予定であります。会員の皆様からのご意見や情報提供もお願いします。

新型コロナウィルス肺炎疑い症例でのCT撮像時の感染対策紹介

2020年2月19日

日本放射線科専門医会・医会

理事長 井田正博