「画像あっての画像診断医であることを再認識する」

愛仁会高槻病院(大阪府)
 イメージングリサーチセンター 高橋哲

 当院は感染症指定病院でない私立総合病院で、軽症患者のみ受け入れている。私はCT・MRI操作室で読影しており、技師日常業務の動線・動作が間近で見えるが、読影室で読影に追われる画像診断医に撮像業務の”実感・実態”の把握は難しい。
 無症状、他疾患例に潜むCOVID19感染から、技師、看護師、事務職、医師を守ることは、特に管理職の放射線科医の責務であり、撮像現場を知ることが今、必要である。当院の事例、御教示いただいた他院の試みを合わせて紹介する。

1. 意識改革

(A)「件数」から「安全」へ
清拭などによるスループット低下のシミュレーション。
病院長に不要不急検査の抑制依頼と通達。技師に対し、検査抑制の支持を画像診断医として表明。
(B) 流れ作業の見直し
撮像終了患者の退室と入れ替わりで次患者を入室させない。撮像間で手指消毒を必ず行い、極力機器清拭。
”前患者を触れた手で次患者を触れない”。
(C) 新たなルーチン動作の確立
患者側、操作室側、両方の出入口に手指消毒アルコール設置。入室時の患者にも可能な限り手指消毒を依頼。
マウス・キーボードなど共用機器に触れる前の手指消毒徹底。
(D) 自分達が最前線
画像を最初に見るのは撮像技師。「スクリーニングの重要な門番」と繰り返し伝えた。
毎週定例技師勉強会で論文中の画像を繰り返し提示。撮像時に類似画像に気づけば放射線科医や主治医へ連絡。
(E) 機器清拭
JCRのHP上の情報、さらに各モダリティでメーカーに清拭指針を確認。(総検査数減少により患者毎の清拭時間が確保されつつある)

2. 他部署連携

(A) 感染制御部門との連携必須。
(B)当院は救急外来でCOVID19疑いを集約。救急部と実務部署間で現実的対応を相談し、感染制御室承認指針として運用。ゾーニングできない構造で、動線を分離する工夫。
(C) 技師部門からの運営部門への上申は難しい(弱い)。医師(放射線科医)の介在必須。

3. 勤務管理

(A) 体調管理
(B) スタッフ発症・濃厚接触対策
• 業務間手伝いの抑制。チーム分けし時間的・空間的に分離。食事・休憩、担当業務を交叉させない。
(C) BCP
• 補完できるチーム体制と、スタッフ減少時の検査抑制目安のシミュレーションと公示。

「3密を避ける必要がなかったころ」

※本稿は緊急事態宣言当日に執筆。「自分の家族にCOVID19を持ち帰らない。結果として院内感染を防ぐ」と呼びかけ対応している。