医療法改正と放射線安全管理責任者の責務について
―放射線安全管理責任者は放射線科専門医の責務です!―
平成31年3月11日に、医療法施行規則の一部を改正する省令が厚生労働大臣名で公布されました。ここでは、各病院の管理者に対して、診療用放射線に関する安全管理のための体制確保として、安全利用のための責任者(放射線安全管理責任者)の配置を求めています。
現在本件は各病院で対応を進めている所ですが、放射線安全管理責任者は、院内の放射線診療が正当化と最適化という放射線防護の原則に則って適切に施行されるように、職員への適切な教育の施行等に尽力することが求められています。適応のある診療を最適の放射線量で行うという、日常的に放射線科専門医が取り組んでいる事項を、院内に広く発信し、放射線安全文化の醸成を計る大切な役割を担います。放射線科専門医でなければ実効困難な職責が法令上も明記されたとお考えください。
安全管理責任者は実務担当者ではありません。病院内の放射線安全の司令塔であり、診療放射線技師や事務職員が適切に実務を遂行しているかを確認することが責務です。他科の医師や診療放射線技師では病院全体の放射線診療の適正性の判断は困難です。実務対応に必要な種々の内容に関しては、放射線科専門医をサポートするために、既に日本医学放射線学会がワーキンググループを立ち上げ、早ければ9月頃にはガイドラインをお示しいたします。忙しい日常診療に従事している放射線科医にとり、今回の放射線安全管理責任者への就任は気が重いかもしれません。しかしながら、放射線診療を今後も適切に運用し発展させるためには放射線科診断の責任者がこの責務を担う最適の人材です。放射線科専門医の力量を発揮する好機ととらえていただき、率先して就任いただきますように、お願い申し上げます。
改正内容への対応は、RI法とは異なり行政への届け出は不要です。しかし、令和2年3月末までに各病院内で対応を完了しておく必要があります。令和2年4月以後の保健所の立入り検査では、法令遵守の一環として改正への対応状況を質問されることと思いますので、対応は年内に済ませていただくことをお勧めします。
こちらの改正を踏まえ、講習会が開催されます。併せてご確認ください。